いぬおさんのおもしろ数学実験室

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書籍『演習 微分積分 キャンパスゼミ』紹介

 ここのところ微積分の復習をしていて、今は重積分の演習。大きな本屋さんの大学数学のところにはマセマ(出版社)の参考書がたくさん平積みになっています。売れているんでしょうね。ぼくも何冊も持っていて、勉強させてもらってます! 今回は微積分の演習書です。

 大学の理系、1年生から2年生くらいで勉強する微積分の、計算が中心の演習書です。ひと言で表現すると……とにかく分かりやすい。初学者の立場に立って、理屈が丁寧に説明されており図解も豊富、式変形も省略せず、問題の解答もしっかり載っています。

 目次は以下の通りです。

講義1 数列と関数の極限(数列の極限とε‐N論法;正項級数ダランベールの判定法 ほか)
講義2 微分法とその応用(1変数関数)(指数・対数関数の極限;微分計算 ほか)
講義3 積分法とその応用(1変数関数)(不定積分の計算;定積分の計算 ほか)
講義4 2変数関数の微分(2変数関数の極限と連続性;偏導関数偏微分係数の計算 ほか)
講義5 多変数関数の重積分(累次積分;広義の重積分・無限積分 ほか)

 

 この本をひと通り終えれば、先の勉強のために必要な微積分の基礎をたたき込め、自信を持てるようになるでしょう。いわゆる「文章題」みたいなものはありません。「××のマクローリン展開を求めよ」、「××という条件を満たす立体の体積を求めよ」といった簡潔な問題ばかりです。解説が丁寧で、電車の中でも読めます。もちろん自分でノートに書くというプロセスは必要だと思いますが。

 

 最近は大学生向けの参考書でも解答が丁寧なのが増えている印象です。「理論の解説を理解できれば問題の解答などなくても大丈夫なはず」というのは、その分野を十分に理解している人の単なる思い込みです。研究者にでもなろうということなら「解答など不要!」程度の気概がなくてはダメでしょう。でも、上に登ろうとする人を制限するための蜘蛛の糸ではないのです。丁寧な本が売れるというのは当たり前です。