いぬおさんのおもしろ数学実験室

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模擬授業で「授業が堅い!」と言われた話

新しい職場でもひととおり授業を済ませ、何となく雰囲気が分かってきたところです。やはり学校によって、生徒の学力はもちろん学校のやり方もいろいろ。しかしとりあえず少し慣れて余裕も出てきたのでブログに力を入れます。今回はエージェントでの模擬授業の話です。
職探しに何社か、エージェントを利用させてもらっています。知らない人もいるでしょう。非常勤の職を探すには、ネットを調べて学校が募集しているのを見つけて直に申し込む方法、エージェントに登録しておき、紹介を待つ方法があります。エージェントというのは、仕事をしたい教員と教員を募集する学校の間に入って動く会社です。ぼくはどちらも経験がありますが、エージェントに登録しておくと自分であちこち調べなくて済むので楽でよい気がします。
さて、このエージェントですが、面接、模擬授業などがあったりします。まあ当然でしょう。履歴書の内容を知っているとは言え、どういう人間か見ておかないと学校に紹介などできないのは自然です。で、あるエージェントでの模擬授業。15分くらい、数列の授業の1時間目の設定です。ぼくは導入と易しい問題の解説をしたのですが、もらったコメントは「授業が堅い」でした。意味が分からず、聞いてみました。大抵、最初の授業では「この単元で勉強することは、世の中のこういうところで使われています」などのようないわゆる「導入」をするのですが、ぼくは電卓のルートキーの話を選びました。スマホでない、物理的なキーを押す電卓です。ルートキーを押せば√2などがすぐ求まりますが、どういう仕組みか知っている生徒はほとんどいないでしょう。実はニュートン法というのが組み込まれているのです。数列の中で出てくる、漸化式(ぜんかしき)を使って効率よく平方根を求めることができる方法です。生徒は知らないのですから、ぼくはある程度詳しく説明しました。どの道、授業はこれからなのですし雰囲気を伝えるくらいしかできませんが、生徒によっては「おお、そんなことができるのか!?」となるでしょう。どうもエージェントの彼はこの話が気に入らなかったようで、これをなぜか「授業が堅い」と表現したみたいです。堅くはないよね……。「生徒には分からないだろう」とも言われたような……。彼としては変な授業をされたら困る、ということでしょう。学校だって「なんでこんな教員を紹介したんだ」とエージェントに言いたくなることもあるでしょうし、無理もありません。
しかしぼくはバカバカしい、と思いました。導入ですよ。どんなことを勉強できるんだろう、と期待を持たせる目的があるのに、この話がダメだというならどうしろと言うんでしょうか。ぼくとしては、恐らく彼を含めその場で模擬授業を見ていた人たちもこんなことは知らないだろうし、せっかくだから教えてあげよう……くらいの気持ちもありました。きっと何人かは「おお、そうなのか」と思ったはずです。それでよいのです。これこそ導入。ぼくはいつもこんな感じの「導入」をしています。彼のように「よくない」と思う人もいるかも知れないけれど、ぼくだったらこういう感じの話をして欲しいです。
こういった人たちは自分で授業をした経験はあるのでしょうか。あったとしても、年齢もあるしぼくの方が年数だけは上でしょう。だから自分は達者に授業をしている……とは全く思っていませんし、彼らが「アナタ、そんなことではやっていけませんよ」と教えてくれているのはありがたいことです。それでも今回みたいに「うーん」と唸らざるを得ないこともあります。教員を相手に「ああせよ、こうせよ」と世話を焼くのが仕事なのですから、ことによると「あいつらは何も分かっていない」くらいの感覚になっているのかも……とも思います。

彼らは教員がいなければ仕事ができませんし、教員も彼らのおかげで助かっています。助け合う間柄なんだからうまくやっていきたいものです。