いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

ある学生が3浪して学んだこと

 世間は教育実習の季節ですね。昔、大変な学校に勤めていたときのこと。「大変」とは……学力的に、と言うことです。そういう学校では、大抵いわゆる生徒指導上の問題もたくさんあります。要するに喫煙やけんかなども多い学校です。ぼくはとにかく大変で、教えはしていたけれど「これは数学どころじゃないよ……」と思っていました。教育実習は母校に来るケースが多いんでしょうか。数学は多分ほとんどいなかったはずですが、でも珍しく卒業生で数学の実習生が来て、話を聞く機会がありました。その学生は3浪して某難関大の理学部に入ったそうです。この大学、現在でも最難関です。その高校からは学力的に合格はほぼ無理なはずなので驚いたんですが、3浪というのも珍しい。彼はその3年間、予備校に通ったそうです。予備校ではもちろん英語だの数学だのを勉強したわけですが、それよりも何よりも「けじめ」を学んだそうな。言いたくはないけれど、多分IQが高いとか「地頭がいい」とかそんなのがあって、勉強にもともと向いている人もいるでしょう。同じことを話してもそれこそ「一を聞いて十を知る」生徒もいるし、易しい話なのに丁寧に丁寧に説明してもなかなか理解できない子もいます。これは事実で、もう仕方ありません。でもそれを超えて、辛いときでも自分を律して頑張れるか、どこまでコントロールできるか、そういう能力が大事な部分はあると思います。早い話、だらしないと能力を生かせないのですね。もちろんさっきの3浪の学生は実際にはもとから理解力などは高かったのかも知れませんし、つまり単純に努力する気力があるかどうかでいい結果が出るか出ないか決まるわけではないですが、だらしなさはマイナスのファクターであることは確かです。

 日頃全然勉強などしていないけれど、定期試験前にちょっと勉強すると6,70点くらい取れてしまう生徒がいます。そういう生徒はもっと気力があれば進路だって選択の幅が広がるのに……と思います。能力を生かし切れていないんですね。惜しくて仕方ありません。ぼくはこういう話を年に数回くらいしますが、それでいきなり勉強を始めるなら楽な話です……。いや、考えてみればぼくだってもっとピリッとした感じにやっていれば人生も変わったかも知れません……。