いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学

実数全体の集合は可算でない

実数全体の集合は可算ではありません。つまり、自然数全体の集合と1対1に対応がつけられないのです。それほど要素が多い、ということです。同じ「無限」なのに不思議な話ですが、仕方がありません。無限にも程度があるのです。今回はこれを証明します。 実数…

結び目は何個あるか?

いや、結んでなくてもよいですが……。空間の中で連続な曲線が自分自身と交点を持たないとします。また輪になっていてもよいとします。要するに、ひもを用意して、結んであったりなかったり、絡んでいたり……という状況を考えるのです。ただ、数学的にはひもは…

無限ホテルのパラドックス

数学者ヒルベルトが考えた面白い話です。本来「パラドックス」とは「正しい仮定から正しい推論をしているのに、出てきた結果がおかしい」というものですが、その意味では今回紹介する話はパラドックスではありません。「直感に反している」ぐらいの意味です…

有理数全体の集合は可算である

正の有理数全体の集合をQ+としましょう。Q+は可算集合です。つまり、正の分数全体に1番、2番、3番、……と番号をつけることができます。まずこれを示しましょう。前の話に従うと「NとQ+は同じ濃度である」ということです。 平たく言うと、正の分数は自然数…

可算集合の点を平面にばらまく問題をひとつ……

自然数全体の集合をNと書くことにします。N={1, 2, 3, ……}です。Nと1対1に対応のつく集合を可算集合と呼びます。例えば T={2, 4, 6, ……}は可算集合です。NからSへの1対1の対応fを f(n)=2n で定義できるからです。平たく言えば可算集合とは要素を…

少ない無限、もっと多い無限、さらに多い無限、……

数学では「無限」をたくさん扱います。自然数(1,2,3,…)は無限個あります。整数(0,±1,±2,…)も、有理数(整数/整数の形の数)も、実数(√2、πなども含む。虚数単位iのついてない数のこと)も無限個あります。しかし、同じ「無限個」の中に…

『新数学対話<1>行列式』紹介

大学の授業で線形代数が始まるとすぐ、行列式の一般的な定義が出てきます。場合によっては2次の正方行列なら高校で触れているかも知れません。 このとき、Aの行列式とは|A|=ad-bc なのでした。a,b,c,d を係数に持つ連立方程式を解くとき、この値が0かど…

モンティ・ホール問題

モンティ・ホール問題というのを紹介しましょう。モンティ・ホールというのは人名です。この人が司会を務めるアメリカの番組で話題になった問題なのでこう呼ばれるようになったのだそうです。次のようなものです。-----------------3つの箱…

4個以上の集合のベン図はどう描いたらよいのか

3つの集合A、B、Cのベン図は以下の通りです。こうすれば、例えばAに属するがB、Cに属さない要素も入れる場所はあります。抜けはありません。 では集合4個だったらどうなるのでしょうか。例えば下のようにすると…… A、Dに属すがB、Cに属さない要素が入りませ…

大工さんの曲尺(かねじゃく)

大工さんが使う道具に曲尺(かねじゃく)というのがあります。直角に曲がった物差しです。名前は知らなくても家を建てている現場で見たとがあるかも知れません。表には普通の目盛り、裏面はその√2倍(≒1.41倍)の間隔の目盛りがついています。例えば、裏面の目…

写真から立体を再現(9) 固有値、固有ベクトル、非自明解を求める

後で使うので、固有値、固有ベクトル、連立方程式の非自明解を求めます。例によってPythonです。 #======================================================== #固有値、固有ベクトル、非自明解 # import sys import numpy as np A = np.array([[3, 1, 2], […

写真から立体を再現(8) 再び特異値分解(SVD)してみる

特異値分解の理解を確実なものにするため、サイズの違う行列で試してみます。前回にも書いたとおり、Python(Numpy)で特異値分解をした場合、結果の解釈がやや難しい部分があります。今回、行列は3×3、ランク2のものを使います。前回の表を再び載せておきま…

写真から立体を再現(7) 実際に特異値分解(SVD)してみる

Numpyの特異値分解は、結果の解釈に注意が必要です。説明します。 行列Aは、以下のように特異値分解(SVD)されるのでした。 過去の記事にあります。 www.omoshiro-suugaku.com Pythonのモジュール、Numpyの特異値分解では上のようでなく、別の形の結果が得…

写真から立体を再現(6) 特異値分解(SVD)とは何か

前、スペクトル分解について書きました。スペクトル分解は正方行列に対してのみ実行できますが、特異値分解は0行列以外の行列に対して実行できます。これも必要になるので、まとめておきます。 Aを0行列でない行列だとします。 このとき実は (i=0, 1, 2, ………

計算尺の仕組み

昔、計算尺という器具がありました。ぼくは父にもらったものを持っていますが、amazonで少し見ましたがなさそう……。雑誌の表紙には載っていました。 『対数の威力』とあります。今回は対数を使ってかけ算、割り算を楽に計算する器具、計算尺の話です。 Newto…

ライプニッツの公式で円周率を計算できるか?(2)

ライプニッツの公式で円周率を求める話を書きました。www.omoshiro-suugaku.com 中学生の頃この話を聞いて、高校生になってから手に入れた電卓で円周率を求めようと頑張りました。ポケットコンピュータというのも現れ始め、これは当時で3万円くらい。何を使…

ライプニッツの公式で円周率を計算できるか?

次のような級数を考えましょう。 この級数は収束することを示してみます。証明の流れが分かればよしとします。一般的な証明はこれから書くことが理解できれば難しくありません。 第n部分和を次のようにおきます。 偶数項目までの和を考えます。例えば、 で…

「ベクトルAB」か、「ABベクトル」か?

「上の4角形は『4角形ABCD』と書かなければいけない」という主張があるのです。「4角形ADBC」ではダメだ、と。誰がいつ決めたんですか? せいぜい「分かりやすくするために4角形ABCDと書いた方がいいでしょう」が限度でしょう。「ABCD」とグルッと順に読むこ…

テキスト『数学での証明法』紹介

大学の理系の学部に入るとすぐに微積分の授業が始まります。大学、学部によると思いますが、微積分の中で割と早い時期に「ε-δ論法」(イプシロン-デルタ論法)というのが出てきます。高校では (xを3に限りなく近づけると2x-1は5に限りなく近づく)は当た…

8の44乗の最高位の数字を求める

ただし であるとしておきます。 ですから、 ということになります。 の部分は単に0を39個並べるだけですから、最高位は の部分で決まります。 なので、 は5と6の間の数だと分かります。つまり答えは5です。なお であることは から、 であることは から分かり…

写真から立体を再現(5) まだ途中ですが、勉強してみた感想など

ちょっと一服。ここまでである程度基本的な事実の紹介、記号などを整理しました。このあと、空間の点と画像面に映る点の間に成立する等式 の、ベクトルや行列を成分で書いた を用いて、まずはカメラ行列Pの内容を決定します。具体的には立方体など、形がハッ…

写真から立体を再現(4) カメラ、座標軸、透視投影行列

写真から立体を再現する準備です。用語、記号や基本的な考え方など、まとめておきます。 空間に図のような座標軸を考えます。座標軸にカメラをセットすることもあります。カメラは原点oの位置に、z軸の正の向きに向けることにします。カメラをセットしたと…

対数を使って2の1000乗の桁数を求められるか

常用対数をとると 高校では対数のところで出てくる問題です。 として答えなさい、などと但し書きがあります。これは近似値ですからもちろん真の値とは異なり、mによっては桁数に誤りが出る可能性があります。たいていはm=30とかm=50程度なので問題ない…

写真から立体を再現(3) 空間のベクトルを平面へ射影する

写真から立体を再現するのに必要な数学を少しずつまとめています。今回はその第3回。空間ベクトルを空間内の平面(xy平面などだけではなく、一般の平面)への正射影したベクトルを計算するための行列を求めます。もっと一般的な議論(n次元ベクトル空間…

近似値を使わずに対数の値を比較する

質問されました。 を使って分かります。これで大小は比較できます。しかし「そういう近似値は使いたくない」と言われ、それなら別の方法で。問題集の解答にあるような、近似値は使わないで不等式で範囲を調べるやり方を考えましたが、なかなかうまくいきませ…

写真から立体を再現(2) 一般逆行列を試す

前回、一般逆行列について書きました。変数の数より式の本数の方が多いとき(行列を使った表現で言えば行が多いとき)、連立方程式を満たすxは存在しない可能性があります。そんなときでもの両辺の左から一般逆行列(疑似逆行列)かけると一応、xが求まり…

写真から立体を再現(1) 一般逆行列(疑似逆行列)とは何か

そろそろ、複数枚の写真をPCに渡し、写っている立体を再現する実験をやってみたいと考えています。順番にその準備をブログでしてゆきます。 まずは一般逆行列です。Ax=bからxを求めるのですが、方程式の本数が多過ぎたり、少な過ぎたりしても何とかx…

テキスト『重積分』紹介

『重積分』(中沢貞治1976共立出版数学ワンポイント)を紹介します。本のタイトル通り、重積分について解説してあります。重積分とは変数が2個、3個、……の積分です。最近では分かりやすいテキストもたくさんありますが、この本は奇をてらうこともなく、理論…

対称行列の固有値分解(スペクトル分解)とは何か

Aをn×nの実対称行列、 を正規直交基底とします。 さて、応用ではよく対称行列が出てきます。このAに対し、|λI-A|=0(λのn次方程式。Iはn×n単位行列)の解をAの固有値と言います。そして、λに対し、Au=λu (u ≠ 0) を満たす u を固有値λに対応する固…

y=|x-1|+|x-2|+|x-3|+|x-4|+|x-5|+|x-6|の最小値を求める

関数y=|x-1|+|x-2|+|x-3|+|x-4|+|x-5|+|x-6|の最小値を求めます。x<1のとき、1≦x<2のとき、2≦x<3のとき、……と細かく場合を分ければよいですが、ここではもっと直観的な方法で考えましょう。 そもそもこの関数のグラフは、場合分けをした後のこ…