いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学

高木貞治、ヒルベルト、フォン・ノイマン

高木貞治(ていじ)(1875~1960)は数学者、専門は代数学です。当時、微分学の定理であるにもかかわらず、それまでは積分学を用いて証明されていた定理がありました。高木先生はこれをよくないと考えたんでしょう、微分学の知識のみで証明することを試み、成…

ニュートン法でルート3を求める

微分法を使った、解の近似値を求める方法を説明します。ニュートン法と言います。ここではの正の解を求めてみましょう。これはつまり、を求めることになります。 まずy=-3のグラフ上の、x=pでの接線の方程式を求めます。 y’=2xですから、公式(教科…

無理数の無理数乗が有理数になることはあるか

高校2年生の数Ⅱで(一応)実数の実数乗を定義します。それまで2の3乗など、自然数乗ばかりだったのが実数乗に拡張されます。なら、2を3個かけ合わせる。では2の乗なら? 「2を4/3回かけたもの」ではないのでした。「2を4乗した数の3乗根」が正解です。無理…

ある交代級数の収束の証明

隣合う項の符号が違う数列の和を交代級数と言います(あるいは交項級数)。要するに正の項と負の項が交互に並んだ数列の和です。今回はこの交代級数について書きます。 さて、準備。まず用語です。 数列{}が定数Mに対して (n=1,2,3,…)を満たしていると…

整数とは何か

冷静に考えてみてください。「どうして1+1 = 2なのか」説明できますか? いや、その前にそもそも自然数(1,2,3,……)って何ですか? 負の数とか言って平気で「-2」なんて書くけれど、-2って一体何ですか? ……日頃何の疑問も持っていなかったことが実は…

百五減算(ひゃくごげんざん)

次の問題を考えましょう。 -----------------------------自然数aは3で割ると1あまり、5で割ると2余り、7で割ると3余る。aを105で割った余りはいくつか。-----------------------------105=3×…

ラグランジュの未定乗数法

高校生がこの問題を解くなら、たいてい以下のようにやるでしょう。 あとは平方完成でもすればいいですね。しかし、①から③を導きましたが、今回は①が簡単だったのでそれでよかったのです。①の代わりにとかだったらどうしますか? つまり、1変数について解き、…

偽金貨を探す

ブログで紹介したアメリカの刑事ドラマ『刑事コロンボ』 倒叙もののドラマ、刑事コロンボ - いぬおさんのおもしろ数学実験室 に「殺しの序曲」という回があります。中でパズルが出てきました。シグマ協会という団体があります。この団体への入会資格はただひ…

フェルマーの極値の求め方

フェルマーは関数の極値の求め方を知っていたようです。「フェルマーの最終定理」で有名なあのフェルマーです。フェルマーは17世紀のアマチュア数学者です。彼は「3以上の整数nに対し、を満たす整数x、y、zは存在しない」と予想しました。そして、「この…

差が7000万以下の素数の組は無数にある

自然数(1,2,3,…)のうち、1は素数ではありません。これは約束です。そう約束したい理由はありますが、ここでは略。残る2,3,4,…で、1と自分自身以外の数では割りきれない数を素数というのでした。例えば7は素数ですが、6は素数ではありません。6は2や3…

抜き打ち試験のパラドックス

ある高校の2学年、あるクラスで「近く数学の抜き打ち試験を行う」とアナウンスされました。しかしこれに対し、数学科のA教諭、そして生徒の一部から「試験の実施は不可能である」とクレームが出ました。主張は以下の通りです。 抜き打ち試験はどんなに遅く…

半径1の円周上に間隔1で無数に点を打つと、どんなに短い弧の上にも点がある

半径1の円があります。円周は2πですね。円周上に定点Aをとります。Aをスタートし、円周上を(円周に沿って)距離1ずつ左回りに回る点Pを考えましょう。Aから始め、円に沿って距離1だけ回ったところの点を、そこから距離1だけ回ったところの点を、……と…

地球の赤道にロープを巻きます……

よく見かける問題。地球の半径は6371km=6371000mです。しかしいちいち数値を書くのも大変なのでRメートルと表すことにします。地球は完全な球であるとしましょう。今、赤道にロープをきっちり巻くことを考えます。 地球の半径はRですから、赤道の長さ、…

角の三等分問題

古代ギリシャの3大作図問題のうちの角の3等分問題について書きましょう。「任意に与えられた角を定規とコンパスを用いて3等分せよ」というもので、1837年、これが不可能であることをワンツェルが証明しました。例えば60°という角は3等分できない、つまり20°…

3彩色問題で本人の確認をする

太郎くんが目の前にいれば「あ、この人は太郎くんだ」とか分かります。しかし特にネット越しにメールかなんかのやりとりをしているだけでは「太郎くんだと思っていたら違うヤツだった!」なんてことが起こりかねません。「確かに太郎くんである」という保証…

15パズル

15パズルというのがあります。今時はみんなあまりやらないかも知れません。Aの状態からBの状態へ、移動可能なピースを動かして変化させる、というゲームです。 Aから、「12」のピースを上の隙間に移動して、「8」を「12」が動いたあとの隙間に移動して、……

調和平均とは何か

前、相加平均と相乗平均について書きました。「平均」の定義は場面によって変わります。「この辺が全体の『真ん中』あたりかな?」というのが「平均」で、状況に応じて計算の仕方は変わるのでした。今回は別の平均、調和平均について書きましょう。 ある道を…

書籍『幾何学』(清宮俊雄)を紹介します

『幾何学』(清宮俊雄1988科学振興社モノグラフ)を紹介しましょう。題材は初等幾何ですが、定理の特殊化、一般化など、新しい定理の発見法についてたくさん説明してあります。「清宮」は「せいみや」と読みます。 余談ですが、ぼくは初等幾何は好きなんです…

A=45°、A=60°の三角形で成立する式

余弦定理というのがありました。次のようなものです。図は鋭角三角形ですが、どんな三角形でも成立します。 A=90°の時はcosA=0なので、余弦定理は となってよく知られた三平方の定理です。余弦定理で、A=90°とした特別の場合が三平方の定理だということで…

書籍『日の出・日の入りの計算-天体の出没時刻の求め方』の紹介

新聞には毎日、日の出・日の入りの時刻が載っています。これは誰かが計算しているのです。どうやって? 実は、出没方程式というのがあるのです。sin δ sinφ+cosδ cosφ cost= sin k δ、φ、t、kはもちろんそれぞれ意味がありますが、ここでは説明しません…

スーパームーンの明るさ

この前、スーパームーンが話題になりました。これから書くのは数年前のスーパームーンの話です。平成28年11月14日の夜は月が地球に最接近しました。月は地球の周りを楕円軌道を描いて回っており、離れたり近づいたりするのです。一番離れているときには40.7…

大学では1+1=2を証明するのか

大学では1+1=2を証明するんですか、と聞かれました。「定理:1+1=2である」を直に示すわけではないけれど、近い話は出てきました。だいたいのところを説明しましょう。まず自然数とは何か、きちんと定義(約束)します。高校の授業では普通「1,2,3,………

こんなグラフを持つ式を考えてください(2)

こんなグラフを持つ式が欲しかったのでした。 さて、前回出てきた次のグラフの式y=g(x-a)×h(xーb)を、 y=k(a,b,x)で表しましょう。 このk(a,b,x)と、 を使えば、最初のグラフの式は y=xk(0,1,x)+g(x-1)+k(0,0,x)ーk(1,…

こんなグラフを持つ式を考えてください(1)

こんなグラフを持つ関数の式を考えてみてください。もちろん場合分けをして「x<0のときはy=0、x=0のときはy=1、……」とやれば関数は定義できます。しかしここではこのようは場合分けはせず、1本の式で表すことを考えます。なお、答えはひとつではあり…

フェルマーの小定理(2)

a,bを整数、pを素数とするとき、 をそれぞれpで割った余りは等しい が成立するのでした。ここでnを自然数とし、上の定理でa=1、b=1+1+………+1(n-1個の和)とおけば、 をpで割った余りは等しいことが分かります。つまり をpで割った余りは等…

フェルマーの小定理(1)

高校の数学ではあまり整数の問題は出てきません。まとまった時間、整数に関する体系的な説明はしないのです。他にやらなければならないことはたくさんあるから仕方ないんですが、面白いのに残念です……。暗号の理論に使われるなど応用面も広がりました。もっ…

ガロア理論を解説した分かりやすい本

『親切な代数学演習―整数・群・環・体』(加藤明史2002現代数学社)を紹介しましょう。 代数学をちゃんと勉強すれば「5次以上の代数方程式には解の公式がない」という定理が証明できるようになります。この本は大学の理系で数学を1年も勉強した後ならある程…

直線が掃く平面上の領域

問題: tがすべての実数値をとるとき、直線 が存在する平面上の領域を図示しなさい。 ------------------------- ありがちな問題です。例えばt=1だったら、①はy=xとなります。そこで、xy平面に直線y=xを描きます。t=…

正多面体は5種類しかない

正多面体の話です。正多面体とは、合同な正多角形を貼り合わせてできあがる立体のことです。正多角形というのは正3角形、正方形、正5角形…のこと。図は全て正多面体です。 実は正多面体にはこれだけの種類しかありません。例えば正100面体などはないのです…

グロンスフェルト暗号の解き方

SF作家、ジュール・ヴェルヌは『十五少年漂流記』、『海底二万マイル』などで有名です。暗号が出てくるものがあります。『ジャンガダ(大(おお)筏(いかだ))』です。推理小説には暗号がよく出てきます。しかし難しい暗号はあまりありません。解くのが難し…