いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

新年度に向けて

新型コロナで大変な年度替わりですが、それでもとりあえず令和元年度はあと1日で終わります。急な「登校禁止!」に始まり、学校はとにかく振り回されました。余波というか、まだまだ新年度になっても騒ぎは続く見込みです。肺炎に気をつけなければなりません…

大工さんの曲尺(かねじゃく)

大工さんが使う道具に曲尺(かねじゃく)というのがあります。直角に曲がった物差しです。名前は知らなくても家を建てている現場で見たとがあるかも知れません。表には普通の目盛り、裏面はその√2倍(≒1.41倍)の間隔の目盛りがついています。例えば、裏面の目…

高校生に遠足は不要か?

どうも、高校ではここ10年かそこらは「3年生の遠足はナシでなければ!」ということになっているらしい……。アンケートを採ったわけではありませんが、管理職と一部教員の共通認識なんでしょうか。とにかく「授業確保」なのだそうです。変な話です。これは美名…

Python、OpenCVでマウスのクリック位置を取得する

OpenCV(画像処理ライブラリ)でマウスのクリック位置を取得します。画像を表示しておき、その画像上でマウスイベント(右クリック、左ダブルクリック、……)が起こったときにコールされる関数を定義します。ここでは左クリックしたときに画像上の座標を取得…

あの肖像画、聖徳太子ではなかった!?

もうずいぶん前、5千円札、1万円札に聖徳太子の肖像が使われていました。いや、実は違うそうですね。聖徳太子ではない、と。ぼくたちは「聖徳太子」と習いました。初めて「実は違う」と聞いたとき、びっくりしました。教科書にまで載っていて全国の受験生た…

回転の瞬時中心とは何か

タイヤが右に回りながら速さvで動いています。図の点Qの速さがvということです。タイヤの半径はrとしておきましょう。少々無理があるような気もしますが、一瞬だけを考えれば線分PRは点Pを中心に右回りに回転しています。少しでも時間が経てばさっきの点P…

國分康孝先生の本

故・國分康孝先生は心理学者、カウンセラーです。専門書、一般向けの著書がたくさんあります。ぼくは職業柄、カウンセリングにも興味を持っていた時期があり、國分先生の本もずいぶん読みました。どれも主張がはっきりしていて論理が明晰、分かりやすいとい…

『麻酔の科学』紹介

手術を支える麻酔、そして麻酔科医について、麻酔科医が楽しく書いた本です。TVでもコミックスでも、外科医が手術をするとき、大抵は麻酔科医については触れることすらありません。しかし、この本を読むととんでもない、麻酔科医がいかに大事な仕事をしてい…

写真から立体を再現(9) 固有値、固有ベクトル、非自明解を求める

後で使うので、固有値、固有ベクトル、連立方程式の非自明解を求めます。例によってPythonです。 #======================================================== #固有値、固有ベクトル、非自明解 # import sys import numpy as np A = np.array([[3, 1, 2], […

閉所恐怖症。太古の昔から人間は……。

広場(ひろば)恐怖症というのがあるそうです。公共交通機関や、広場などにいると不安を感じたりするのだとか。これに対して「大昔、広いところだと自分が天敵から丸見えで危険であったため、恐ろしかった。その名残」というような説明を聞くことがあります…

読書について、少し

読書についてつれづれなるままに。 ここ数日、本屋さんの前で買おうか、買うまいか逡巡しています。 オペラで楽しむヨーロッパ史 (936) (平凡社新書) 作者:浩子, 加藤 発売日: 2020/03/16 メディア: 新書 学生時代に歴史をあまり真面目に勉強しておらず、基…

写真から立体を再現(8) 再び特異値分解(SVD)してみる

特異値分解の理解を確実なものにするため、サイズの違う行列で試してみます。前回にも書いたとおり、Python(Numpy)で特異値分解をした場合、結果の解釈がやや難しい部分があります。今回、行列は3×3、ランク2のものを使います。前回の表を再び載せておきま…

写真から立体を再現(7) 実際に特異値分解(SVD)してみる

Numpyの特異値分解は、結果の解釈に注意が必要です。説明します。 行列Aは、以下のように特異値分解(SVD)されるのでした。 過去の記事にあります。 www.omoshiro-suugaku.com Pythonのモジュール、Numpyの特異値分解では上のようでなく、別の形の結果が得…

『「ハッピーな部活」のつくり方』紹介

最近は中学、高校での部活のあり方について議論されるようになってきています。先生たちは必ずしも経験のある部活の顧問になれるわけではありません。卓球部に卓球の経験が全くない教員が配置されることだってたくさんあります。それは仕方ないとしても、例…

写真から立体を再現(6) 特異値分解(SVD)とは何か

前、スペクトル分解について書きました。スペクトル分解は正方行列に対してのみ実行できますが、特異値分解は0行列以外の行列に対して実行できます。これも必要になるので、まとめておきます。 Aを0行列でない行列だとします。 このとき実は (i=0, 1, 2, ………

計算尺の仕組み

昔、計算尺という器具がありました。ぼくは父にもらったものを持っていますが、amazonで少し見ましたがなさそう……。雑誌の表紙には載っていました。 『対数の威力』とあります。今回は対数を使ってかけ算、割り算を楽に計算する器具、計算尺の話です。 Newto…

新書『すごいインド』紹介

たいへん面白い本でした。著者はインド出身、インド最高のIIT(インド工科大学)を出て活躍している人です。文体は穏やかで分かりやすくて、いかにも賢そうな感じ。いかに日本が恵まれているか、いかにインドが厳しい環境か、いかにインドのエリートたち…

プッシュボタンを押さずに電話をかける

プッシュホンでは、受話器を上げて発信音を確認し、697Hzの音と1209Hzの音を同時に送話器の近くで鳴らせば「1」をプッシュしたことになります。ウィキペディアには「DTMF(英: Dual-Tone Multi-Frequency)は、0から9までの数字と、*、#、A、B、C、Dの記…

ライプニッツの公式で円周率を計算できるか?(2)

ライプニッツの公式で円周率を求める話を書きました。www.omoshiro-suugaku.com 中学生の頃この話を聞いて、高校生になってから手に入れた電卓で円周率を求めようと頑張りました。ポケットコンピュータというのも現れ始め、これは当時で3万円くらい。何を使…

「受験指導」は正しいのか?

いわゆる「受験テクニック」というものがあります。例えば現代文。評論文では、前半のブロックと後半のブロックが必ず「しかし」でつながっており、……だからここを読んで××すればそれが答えになる。適当ですが、こんな感じ。実際、受験問題などそんなものな…

ライプニッツの公式で円周率を計算できるか?

次のような級数を考えましょう。 この級数は収束することを示してみます。証明の流れが分かればよしとします。一般的な証明はこれから書くことが理解できれば難しくありません。 第n部分和を次のようにおきます。 偶数項目までの和を考えます。例えば、 で…

理系向けお勧め図書!

高校時代から最近のものまで、ぼくが強い影響を受けた本の一部を紹介しましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・πの話 (岩波現代文庫) ・数学の考え方 (講談社現代新書)・天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫) ・すばらしい数学者たち 改版 (…

「ベクトルAB」か、「ABベクトル」か?

「上の4角形は『4角形ABCD』と書かなければいけない」という主張があるのです。「4角形ADBC」ではダメだ、と。誰がいつ決めたんですか? せいぜい「分かりやすくするために4角形ABCDと書いた方がいいでしょう」が限度でしょう。「ABCD」とグルッと順に読むこ…

「プレゼン」、「発信」は大事か

最近の流行なんでしょう。高校生もやたら「発信」、「プレゼン」、「発信」、「プレゼン」、………。こればっかり。英語でもそう。いいんでしょうか、これで……。 英語の本をポンと1冊渡されて「明日までにA4の紙1枚に要約してきてください」と言われて、きちん…

テキスト『数学での証明法』紹介

大学の理系の学部に入るとすぐに微積分の授業が始まります。大学、学部によると思いますが、微積分の中で割と早い時期に「ε-δ論法」(イプシロン-デルタ論法)というのが出てきます。高校では (xを3に限りなく近づけると2x-1は5に限りなく近づく)は当た…