いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

数学と物理の違い

ぼくは高校では化学部で最初化学は好きだったし、1年の時には化学科へ行くつもりでした。でも有機化学の授業が始まると、「××を合成するには○○を△△すればよい」式の、「とにかく暗記しなければどうにもならない」みたいなのがイヤになり、ロクに勉強しなくな…

グロンスフェルト暗号の解き方

SF作家、ジュール・ヴェルヌは『十五少年漂流記』、『海底二万マイル』などで有名です。暗号が出てくるものがあります。『ジャンガダ(大(おお)筏(いかだ))』です。推理小説には暗号がよく出てきます。しかし難しい暗号はあまりありません。解くのが難し…

Σの記法について

行列式というのがあります。高校生の皆さんは理系に進めば勉強することになるでしょう。今回はただのお話なので細かいことはいいのですが、下のように書かれたりします。 Σの上下に何も書いてありません。この式でi,j,kは1,2,3の全ての並べ替えです。…

科学史(ニュートン、シルバーシュタイン)

今でも読みますが、高校生の頃はもっと読んでいました。数学史、科学史の本です。どうも高校生はこうしたものに触れることの効果を過小評価しているように思えます(違っていたらすみません)。しかし効果を云々(うんぬん)する前に、自分が進みたい分野が過…

西暦Y年M月D日の曜日を求める(3)

すでに書いたとおり、西暦p年からq年まで(p<q)のうち、閏年は[q/4]-[(p-1)/4]-([q/100]-[(p-1)/100])+[q/400]-[(p-1)/400]回あります。1976年は閏年ですが、3月1日(月曜)を1番の日(N=1)と考えていますからこの年について…

西暦Y年M月D日の曜日を求める(2)

季節の1周にはだいたい365.2422日かかります(地球の公転周期が365.2422日、ということ)。半端ですね。しかしちょうど365日でキッカリ季節が1周、なんて方が逆に不自然でしょう。今、日本で使われている暦はグレゴリオ暦と言います。グレゴリオ暦ではだい…

西暦Y年M月D日の曜日を求める(1)

何回かで万年カレンダーの話をしましょう。年月日を入力すれば曜日が分かるサイトがあちこちにあります。どうやって計算しているのか、ということです。方法はひとつではありません。ここで紹介する方法は基本的に『数と図形の話』(岩堀長慶1978岩波科学の…

3×4、4×3のどちらが正しいのか?

「先生にバツにされた!」とかネットで時々話題になっています。4人にあめを3個ずつ配るとき、全部で何個、あめが必要か。3×4か、4×3か? 3個のあめを4人分なんだから3×4が正しい? 故・矢野健太郎先生(数学者)がエッセイに書いていました。矢野先生が微分…

メガスター、大平貴之氏

『プラネタリウム男』(大平貴之2016講談社現代新書)を読みました。小さい頃からプラネタリウムが好きで自分で作ろうとしていた大平貴之氏が、個人で古くからあるメーカーの機械を遙かに凌ぐ性能の「メガスター」を開発します。投影できる星が170万個だった…

遅刻者数の変化

A高校の生徒数を1000人としておきましょう。4月8日の遅刻者をx人とするとその日の非遅刻者は1000-x人ですね。遅刻したx人は担任に怒られて翌日はその9割が非遅刻者になるとしましょう。残る1割は懲(こ)りずにまた遅刻します。そして4月8日の非遅刻者10…

ボーデの法則

ボーデの法則(ティティウス・ボーデの法則、Titius‐Bode law)というのを紹介しましょう。ティティウス、ボーデはどちらもドイツ人です。それぞれ物理学者、天文学者で1700年代の人です。ティティウスは太陽から地球までの距離を10とすると、太陽から各惑星…

リシャールのパラドックス

リシャールのパラドックスというのを紹介しましょう。パラドックスとは、正しそうな仮定、正しそうな理屈なのに出てくる結果がおかしい、そんな議論のことです。自然数xに関する条件は無数にありますが、それを残らず考えます。条件には1番から順に番号をつ…

コナン君の蝶ネクタイ型変声機の原理

アニメ『名探偵コナン』の主人公、コナン君の蝶ネクタイはただの蝶ネクタイではありません。「蝶ネクタイ型変声機」ということになっています。彼は自分の推理を披露する際によく「腕時計型麻酔銃」で毛利探偵を眠らせ、自分の声を変声機で毛利探偵の声に変…

画像処理の話

写真の1枚目と2枚目の写真、何が違っていると思いますか? 2枚目は1枚目より見づらい感じです。でもぼやけてるわけではない。2枚目のような画像は「コントラストが低い」と言います。コントラストとは画像の最も明るい点と暗い点の明るさの差。平たく言うと…

数式を入力できる電卓の仕組み

100均の電卓で「2+3×4=」と打つと「2+3×」の段階で「5」と表示され、続けて「4=」と打つと「20」と出ます。数式の計算としては誤っていることに注意してください。正解は14です。×、÷は+、-に優先して計算しなければならないのでした。しかし電卓は入…

最小2乗法とはどんなものか

何かの実験をしたとしましょう。x軸、y軸を描きます。 例えば、図1のような結果です。実験結果ですから誤差は避けられません。結果の点は一直線上には乗っていませんね。このとき、ある人は「x、yの関係はこれだ!」と図2のように直線を引くかも知れませ…

電子工作とプログラミング

中学生の頃、電子工作が趣味の友だちがいました。彼は「自分で回路の設計もできる」と言っていました。家が電気屋さんで、ハンダごてやテスターなどの道具、トランジスタや抵抗、コンデンサなど、部品も揃っていていろいろ教わることもできたんだと思います…

太陽の近くでは時間がゆっくり進むことの説明

太陽の近くを光(の束)が通過します。束の先頭は図でAA'、BB’、……、EE’と進みます。観測の結果によると、図のように光は太陽の近くでは直進せずに曲がったコースを進みます。アインシュタインは一般相対性理論の帰結として光が曲がることを予言していたとい…

ビエトの数学記号

数学の本を開くと、Σ、∫、f(x)、………といくらでも記号が現れます。意味がパッと伝わるように、間違えにくいように、簡潔に表現できるように使われるのです。しかし数学の記号のありがたみを分かっていない人も多いと思います。なにしろ生まれたときから数学…

数学ができるようになるために

天才的な人は別です。そういう人は勉強の仕方など、きっと何をしてもよいのでしょう。しかしたいていの人はぼくを含め、普通の人です。そういう人たちは、一体どうしたら「数学ができるようになる」のでしょうか。定義のないところに結論なし。「高校2年の秋…

くじ引きの、ちょっと不思議な話

確率の、ちょっと不思議な話を書きましょう。袋a、a’、b、b’にくじが入っています。内訳は次の通りです。袋a くじは10本。そのうち当たりは3本。当たる確率は3/10。袋b くじは60本。そのうち当たりは17本。当たる確率は17/60。袋a’ くじは30本。そのうち当…

ニュートンはリンゴの落ちるのを見て万有引力の法則を発見したのか?

宇宙の物体同士は「万有引力」という力で互いに引き合っています。ニュートンが1687年に出版した『自然哲学の数学的諸原理』(プリンキピア)に万有引力の法則があります。 Fが万有引力の大きさ、M、mは2つの物体の質量、rは物体間の距離です。Gは比例定数…

正の数を無限個加えるとどうなるか

正の数を無限個足すことを考えます。例えばa=0.1+0.01+0.001+……とか。このaは結局a=0.1111……と考えられますから、a=1/9ということです(1÷9=0.1111……)。正の数だからと言って、無限個加えれば結果はいくらでも大きくなる、というわけではないの…

インタプリタを作る

専門ではないので説明が曖昧な部分もありますが、勘弁してください。ぼくはソフトを書くのが趣味なんですが、何年か前、インタプリタ作りにはまっていました。とにかく面白かったです。 例えばCという言語では、for(i = 1, s = 0; i <= 10; i++){ s += i;}と…

ベジェ曲線とは何か

ベジェ曲線というのを紹介しましょう。これはサインカーブみたいに、見ても「あ、ベジェ曲線だ」と分かるというものではありません。描く手順についた名前と言っていいでしょう。下の図を見てください。ウィキペディアにありました。 今、ゲームで戦闘機が図…

琵琶湖はどのくらい膨らんでいるか

琵琶湖の南北長はa=63.5(km)です。湖面は地球に沿うはずですから、湖の中心部分は周囲よりもふくらんでいます。 図で、弧aが湖面。hだけ膨らんでいます。r=6378100(m)は地球の半径です。真っ平らな板を渡すと湖の中心部分は上側にある程度はみ出る…

プロとアマチュア

大学時代のサークルの友人、Hは自分で会社を興して、ネット関係のソフトを書いたりして暮らしています。年に1,2回くらいずつ会っていろいろ話します。前に会ったときには「8月いっぱいはパターン認識の勉強をする」と言っていました。彼はゼスチャーなどを…

虚数は実在するのか?

「複素数」というのが数学に出てきます。「1 + 2 i」のような形の数を言います。iは虚数単位と呼ばれ、i^2=-1なのでした(「x^2」でxの2乗を表すものとします)。i がついてない数は実数、i がついた数は虚数と呼びます。例えば 実数である1 は、1=1…

友だちと旅行に行ったときの精算の仕方

旅行に行ってきました。職場に出入りしている業者さんにも美味しい店を聞きました。1泊10000円ちょっとで温泉もなかなかよかったし、穴場だったのかも……と思いました。 さて、こういった旅行でよく問題になる「精算」。例えばA、B、Cの3人で出かけ、Bが…

第2宇宙速度とシュバルツシルト半径

第1宇宙速度の次は第2宇宙速度です。地球脱出速度とも言います。地表から物体を真上に投げ上げることを考えます。遅く投げればすぐ戻ってきてしまいます。もっと速く投げると時間が経ってから落ちてきます。さらに速く、秒速11.2kmで投げるともう戻ってき…